「仕方ないので、ミントが必要になった時にここへ取りに来たりはしますが…」


「使い切れないでしょうね、これは。それに、ミントは軽く引き抜いたくらいではどうにもなりません」



 アリシアはミントを近くで見ようとしゃがみこんだ。青々と繁る葉を触りながら観察する。



「ペパーミントですね。近くに他の種類のミントが無かったのは幸いです」


「勉強不足で申し訳ないのですが、他の種類のミントが近くにあったらまずいのですか?」


「ミントは他種のものとも交配します」


「新種でもできるんですか?」


「うーん……新種というか雑種。生命力はそのまま、匂いが変になったり無くなったりする場合が多いです」



 ミハイルは「なるほど」と息を吐いた。匂いがしないミントとなれば、もうただの雑草だ。今はこの範囲で済んでいても、手を打たねばさらに大変なことになる。



「こうなったら根元から全部掘り返しましょう」


「やはり、そうするしかありませんか……」


「わたしも協力します。大きなスコップはありませんか?」



 乗り掛かった船だと思いそう提案すると、ミハイルは眉間にシワを寄せた。