(ああ……)
唐突に理解した。
(私は、アリアが……この少女のことが好きなんだ)
自分が誰かに恋をするなど、考えたことすらなかったから今まで気づけなかった。
彼女とこうやって過ごせる時間が永遠に続いてほしい。
──だが残酷にも、「イル」が「アリア」に会ったのは、その時が最後だった。
その日王宮に戻ったイルヴィスは、「国王が倒れた」と伝えられた。
原因は過労。幸い命に別状はなかったが、医者からは長期間の休息が絶対、回復しても今までのような身体に負担を掛けすぎる働きは禁物だと言われた。
「イルヴィス、しばらくお前に公務全般を任せたい」
国王である父は、イルヴィスを呼び出し、病床から弱々しく言った。
すぐには答えられなかった。今まで父を手伝うという形で公務に関わったことはあるが、完全に任されるのは初めてである。
たった16の未熟者に、そのようなことができるのだろうか。
それでも、賢王と呼ばれ、国民からの信頼も厚い父がこうも弱っている姿を見せられては、迷いがあるはずもなかった。
「お任せください、陛下」



