第一王子に、転生令嬢のハーブティーを



 ……肝が据わっているのを通り越して、図々しくはないだろうか。



「でもまあ、今まで飲んだ紅茶の中で一番美味しかったから、なんて言われたら悪い気はしませんでしたし〜。OKしてしまいまして〜」


「したのか……」


「はい!教えたら彼女、すぐに上達してしまいまして〜。あたしよりも上手く淹れるようになっちゃいました〜。ちょっと悔しい」



 リリーはそう言いつつも、どこか楽しそうだ。



「今はうちの店のメニューにハーブティーを加えようと一生懸命ですね。何でも、ハーブティーは美味しいものだということを世間に広めたいんだそうです〜」


「聞いておきたいんだが、ハーブティーというのはカフェのメニューにあるようなものなのか?」


「ないですね〜。少なくともこの国では一般的ではないです。あたしもお薬だと思ってましたし」


「やはりそうなのか」


「でも、アリアさんがブレンドしたハーブティーは美味しいので、本当にメニューに加えても良いかもな、なんて最近は思ってます」


「彼女の交渉は成功したということか」


「そうですね〜。でも、もっと美味しいものができそうなので、アリアさんには黙っておいて研究を続けてもらうことにします」