学園でイルヴィスに媚びを売ってくるようなそこらの令嬢よりずっと美しい容姿である。
「ハーブティーを淹れているんです」
少女は戸惑った様子ながらも、落ち着いた声で答えた。
「ハーブティー……風邪をひいたときなんかに飲まされる薬か」
王宮医に処方されて何度か飲んだことがある。茶というわりには香りが強く、飲みにくかった印象だ。
少女はそれを聞いて少し残念そうに言った。
「うーん、やっぱりお薬という扱いなんですね」
「違うのか?」
「まあ、それも間違いじゃないですけど……ハーブティーって本当はすっごく美味しいんです」
「美味しい……?」
「はい!だから、このお店でもメニューに加えてもらえないかとリリーさんに交渉しているところだったんです」
彼女は目をらんらんと輝かせながら力説する。
だが、ハーブティーが美味しいというのにも、薬がカフェのメニューになるというのにも、今一つピンとこない。
「紅茶の茶葉とブレンドしてみたり、万人受けする味をこうやって研究してるんですけど……あ、お兄さんも飲んでみますか?」
「いや、私は……」



