アリシアは先ほどの彼女たちから距離ができたのを確認し、再びお茶菓子に目を向ける。



「お嬢様、こちらにいらっしゃいましたか」



 ブルーベリーの入ったマフィンに手を伸ばしかけたとき、ノアが駆け寄ってきた。



「美味しそうなお菓子ばかりだから目移りしてね。それで?」


「はい。確かにサラ嬢も父親の公爵と共に参加しています」


「そう。心配はしていなかったけどとりあえず安心ね」


「それからその……セシリア様もいらっしゃってました」


「え……セシリア姉様も?」


「妹の計画を最後まで見届けたいそうで」


「まあ、セシリア姉様には情報集めやその他もろもろ協力して頂いたしね。」



 後で挨拶に行っておかないと。そう呟いてマフィンをかじると、また一人アリシアに近づいてきた。

 周りを気にしながらこそこそと動く黒髪の美少女。ニーナだ。



「アリシア様、準備できました。確認してもらって良いですか」


「ありがとう、助かるわ」


「……って、よくお菓子なんて食べられますね。緊張しないんですか?」


「しているけど食欲は別問題。王室御用達のお茶菓子が集まってるんだもの。食べられるだけ食べておかないともったいないでしょ?」


「うーん……伯爵家のご令嬢とは思い難い発言」