「今回のお茶会、突然ですわよね」


「ええ。招待状が届いたときは驚きましたわ。第一王子自ら開催されるお茶会なんて、妃候補探しのとき以来ですもの」



 王宮の庭園にて。きらびやかな衣服に身を包んだ令嬢たちが多く集まっている。


 イルヴィスが主催するというお茶会への招待状が各家に届いたのはたった二日前のこと。

 王宮で開かれるお茶会といえば、第一王子の妃探しが誰の記憶にも新しいが、今日はあの日と異なる点がある。参加者の人数だ。

 前は一部の有力な家の令嬢だけが参加していたが、今回はもっと多くの家に招待状が送られており、さらに年頃の娘に限らず色々な人がいる。

 突然の催しとしてはかなり規模が大きい。



「ねえ、あの噂はやっぱり本当なのかしら」


「噂?」



 ヒラヒラとした可愛らしい装いの話好きな令嬢。彼女が仲の良い別の令嬢に興奮気味に話す。



「殿下は婚約者を一応は選んだけど、あまり上手くいっていないらしいの」


「ええ、そうなの?確かお相手は……」


「アリシア・リアンノーズ様よ。ほら、美人だけど少し変わり者の」


「ああ、薬草好きだっていう」


「そう。聞いた話では王宮で働いていたメイドを毒草の実験台に使ったらしいの。そのあたりがきっと殿下のひんしゅくを買っているんだわ」