彼女の反応を見て、やはりか、と思う。

 ニーナが休憩中の多くを庭園のこの場所で過ごすのは、ここがデュランのお気に入りの場所でもあるからだ。

 約束などせずとも、この場所に行けば会えるかもしれない──。お互いにそんな期待を抱きながらここに来る。

 思い返せば、漫画にもそんな設定があった。


 そして、ヒロインのピンチ──例えば、悪役令嬢と二人きりになってしまうような場面に、ヒーローは必ず現れる。

 せっかくニーナと二人きりになる機会を得たのに、デュランに邪魔をされてはたまらない。


 それで、イルヴィスに協力してもらい、デュランの邪魔が入らないよう、適当な用事で呼び出しておいてもらったのだ。イルヴィスはそんな都合よいことが起こるものかと訝しんでいたが、念には念をとお願いした。



「それでね、わたしへの疑いを晴らす方法は、結局ニーナさんに本当のことを話してもらうのが一番だっていう結論に至ったのよ」


「本当のこと?あたしは貴女にシャレにならない嫌がらせをされた。それが真実──いえ、これから真実になるわ」



 ニーナは何かを諦めたのか、今までのふんわりと優しい雰囲気を消し、口調も少し挑発めいたものになった。



「第三王子であるデュラン殿下がそう主張している今、一定数の人は彼の言葉を信じている。それが増えれば、あたしの嘘だって真実になる」