「お礼をしてくださるとおっしゃるなら──全てが解決した後、一緒にどこかへ出かけませんか?」


「ミハイルさんとお嬢様とわたくしの三人でですか?確かにいつもハーブ園くらいじゃないと会いませんもんね。だけどそんなことがお礼に?」


「いえ、そうではなくて」



 ミハイルは苦笑いして、「アリシア様もだがノアさんもたいがいだ」とよくわからないことを呟いた。

 それからノアの前に立ち、わざとらしく咳払いをした。



「休みが合う日に、僕とノアさんの二人で、どこかへ出かけませんか?」


「へ?」


「簡単に言えば、デートのお誘いです」


「ふへ?あ、あの……で」



 顔の温度が上昇していくのを感じる。



「か、考えておきます」



 ノアは慌てて頭を下げ、急いで店を出る。動揺のあまり机やドアの角に何度も足をぶつけてしまった。