王宮への自由な出入り。

 それはなかなか嬉しい特権だ。特にあの広大な庭、あれはずっと見ていても飽きないだろう。



「ありがとうございます」



 アリシアはまた恭しく頭を下げた。イルヴィスは、そんなアリシアを見て、軽くうなずく。



「では、これからよろしく頼む。アリシア」



 それだけ言い残して立ち上がると、部屋を出ていこうとする。が、扉の手前で思い出したように振り返った。



「そうだ、先ほどの質問の答えだが……私もまた、貴女と同じでラベンダーが好きだから。と言っておこう」



 それだけ言い残し、薄く微笑んで今度こそ部屋を出て行った。