ニーナとして生まれたこの世界が、前世で大好きだった漫画の世界だと気がついたときは、すごく嬉しかった。

 前世で酷い目に遭ったから、神様が同情してくれたに違いない。



 完全に頭に入っていたストーリー。漫画で見たキャラクターたちも、現実のこの場に存在している。


 楽しい。ストーリーの通りにいけば、困難は多いけど、刺激的で楽しい人生が送れる。そう思っていた。



 とある事件により、ニーナのその計画は音を立てて崩れた。

 それは完全にニーナに落ち度があった。前世の記憶がある自分の行動一つで、大好きな漫画のストーリー通りに行かなくなるという事実を思い知らされた。



 ──もう、間違えない。



 そう決心した。

 この世界をあの漫画と同じものにするためにも、まず今は"彼女"に悪役令嬢でいてもらわなくてはならない。