ティータイムが予定していた時間よりも早く終わってしまった。

 残されたアリシアは、先ほどまで部屋の外で待たせていたノアに手伝われながらティーセットを片付ける。


 この後はハーブ園に行こうか。そう考えていたが、アリシアは少し思いとどまった。



「ノア、悪いけど先にハーブ園へ行っていてくれない?少し行きたいところがあって」


「行きたいところですか?構いませんが、ご一緒しますよ?」


「いいの。一人で行きたいから」



 不思議そうに首をかしげたノアに、アリシアは微笑む。

 ノアについてこられて不都合というわけではないが、説明が面倒である。今から行こうとしているのは、一介の王宮メイドに過ぎないニーナのところだからだ。



「大丈夫、すぐ終わるから」


「そうですか……わかりました」



 アリシアはノアと別れて回廊を歩く。

 広大な王宮で一人のメイドを探すというのはなかなか大変だ。

 だが、気合いを入れて捜索したりせずともニーナを見つけてしまう自信はあった。



(これまでだって、会いたくもないのに巡り会っちゃってたわけだしね)



 そんな予感はズバリ的中した。



「あ、アリシア様!」