「水樹や氷月、総一郎や京子、陽希さんに陽向さん……頼める人間は沢山いるはずだが?」


「みんなに迷惑はかけられねぇだろ」


(……めんどくせぇ)


沙耶もだが、どうして、他人の事情を最初に考えるのだろうか。


頼んでみなければ、わからないのに。


「お前が倒れた方が、みんな、困るよ」


「クッ、やけに親切だな?今日」


「黙れ」


「はいはい」


バックミラーで相馬を見れば、相馬は書類をまとめ、ファイルに仕舞う。


「甲斐、他のは?」


「そこの黒いバックの中」


「片付けるぞ」


「いいけど……寝なよ」


「栄養剤飲んだら、目が覚めた」


「……死ぬよ?」


「沙耶で回復するから、大丈夫」


そんなことをいいながら、また、書類にサインしていく。


そして。


ピルルッ……


鳴った、相馬の仕事用の携帯。


「Sì,cos hai fatto?……Per quello……」


この言語は、イタリア語である。


「本当、休めって……」


絶対、この幼馴染み兼主は早死にする。


そんなことを思いながら、会議場に向かい。