恋愛ノスタルジー

お見合いをしたあの日、確かに彼はそう言った。

だから迷いなく婚約したし、彼のマンションに越してきたというのに……。

けど、一緒に住み出した直後から彼は笑わなくなったし必要なこと以外は話さなくなった。

いつも冷たげな眼差しで私を見下ろすだけ。

美月が咳払いをした。

「世の中そんな上手くいくわけないじゃないの。婚約したのはあんたの意思でもあるんだから、ちゃんと彼と向き合いなさい。時間をかけてキチンと話をしなさい」

姉のような美月は、いつも私にしっかりと意見をくれる唯一の親友だ。

……そう……よね。

最終的に圭吾さんとの結婚を決めたのは、私だものね。

「分かった……」

コクンと頷くと、私は手の中のカップを再び見つめた。

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一滴の水を腕に感じて、私は咄嗟に空を見上げた。

……雨?嘘でしょ?少しだけ公園を散歩したかったのに。

さっき美月と別れた時にはそんな気配はまるでなかった。

ううん、多少の雲はあるものの、秋の爽やかな風が心地好くとてもよい天気だ。

それなのに雨?

眩しさに目を細めながら再び空を見上げたけれど、雨の気配はない。

なんだ……気のせいかな。

その時だった。