「何の取り柄もない人間だと?たとえ本人でも……俺の好きになった人をそんな風に言わないでもらいたい。それに」

圭吾さんここで一旦言葉を切ると、私の頬にキスをした後、続けた。

「俺は最初から、彩がよかったんだから」

「圭吾さん、大好きです……!」



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うわ言のように圭吾さんの名前を呼ぶ度、彼は私を抱く腕に力を込めた。

鍛えているであろう逞しい身体は私をドキドキさせ、その甘い眼差しと低くて艶やかな声は胸を切なく軋ませる。

薄いレースカーテンから降り注ぐ月の光が彼の身体の美しさを際立たせていてずっと見ていたいと思う反面、一ミリだって離れたくなかった。

「……良く似合ってる」

アルテミスで選んだネックレスは私の首元で光を帯び、圭吾さんが揺らす度、皮膚を滑った。

「圭吾さん、これからずっと仲良くしましょうね」

「ああ」

低くて優しい声にたまらなくなって、両腕を投げ出すようにして圭吾さんの首に抱き付くと、彼は私をベッドへ優しく倒した。

綺麗な眼が至近距離からこちらを見ている。

温かくて優しくて、このままこの人に融けてしまうような幸せな感覚。

『離さないで』と言う自信がまだないから、私は心の中でそっと呟いた。

圭吾さん。私、もう貴方から離れません……。