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「へーえ。良かったじゃん!これでふたりで仲良く大晦日を迎えられるじゃん!」

その日の夜、美月から着信があり、私はあの後圭吾さんとの間に起こった出来事を全て話した。

圭吾さんは少し仕事があると言って書斎へ入ってしまったから経緯を説明していても照れ臭さはあまりなく、むしろ嬉しい気持ちが勝っていた。

「うん。美月のお陰だよ」

小さく微笑むと美月は、

「じゃあ今晩はラッブラブじゃん!もしかしてこの電話で邪魔しちゃった?」

「美月ったら!圭吾さんは書斎で仕事中だし私は今お風呂から上がってもう寝るところ」

「はあ?想いが通じ合った日の夜は一緒に過ごすでしょう、普通は!それともなに?!抱いてほしいけど内気な彩ちゃんはそんな事いえましぇーん!ってか?!」

「な、なに言ってんのっ!抱いて欲しいとかそんなの、」

その時後方のキッチンから足音がして、私は思わず立ち上がった。

圭吾さんだ。

ビクッとした拍子にスマホが指から滑り落ち、焦った私はそれを掴み直そうとした。

……でも今考えると、どうやらそれが悪かったみたいだ。

落ちる寸前にスピーカーボタンに指が当たったらしく、突然部屋中に美月の声が響き渡った。

「両想いなんだから思いきって言えばいいのよ。『抱いて、圭吾さん』ってね。そしたら圭吾さんだってウハウハだわよ」

ハンズフリー機能が作動しているスマホの会話が、数メートルしか離れていない圭吾さんに聞こえないわけがない。

たちまち驚いたようにこちらを見る圭吾さんと視線が絡む。