「きりーつ、れーい…」 殆ど上の空で終わった、自習。 最初は大人しくテスト勉強をしていたけれど、途中から私は窓の外を眺めていた。 そこには、気怠るそうにジャージでサッカーボールを蹴っている薫せんぱいがいたから。 瞬きも出来ずに、見惚れてしまっていたんだ。 つい先日まで、あんなにも遠い世界にいた人が…自分の中でどんどん大切な存在になっていく。 こんなにも、こんなにも。