【完】溺愛飛散注意報-貴方に溺れたい-


「でも…」

「バンド組んで、すぐに同じ場所に行ったのに、お前はもうそこには現れることはなかった…だからavidは、自分なりの挑戦だったんだ…。どこかでもう一度お前に逢いたい。そう思って諦めきれなかった…そしたら…インディーズデビューしてすぐ、お前は俺の前に現れてくれた。もう、これは運命でしかねぇ…絶対にこのチャンスは逃さねぇ…そう思ったんだ」


キスの合間を縫うようにして、せんぱいは次々に種明かしをする。
あの熱に帯びた視線は、間違いなく自分に注がれていた。
その事実が、私の脳内を沸騰させるくらいにじわじわと波立たせていく。


「自分の夢を手繰り寄せられたと思ったんだよ。…自分の千切られた半身を埋め尽くしてくれるのは、お前だけだと確信した。お前はKAZUである俺には焦れるくらい心を投げ出してくれる…だったら、『俺自身』を…等身大の俺を感じさせて、この腕の中に閉じ込めたい。そんな欲がどんどん膨らんだ。…強引にでも、どんな手を使ってでも、手に入れたかった…」


せんぱいの言葉は、魔法のようだ。
恋して焦がれて止まなかった、私の光。
私の苦しみも悲しみも全て洗い流して、掬い取ってくれる存在。
そんなKAZUが、せんぱいだった。
傍からしたら、馬鹿馬鹿しいほどありきたりの展開。
だけど、私の中でそれは鼓動を激しく揺さぶるような、現実だった。