「……内緒」 「なんで?!」 「くすくすくす。私のこと泣かせた罰」 「マジか…そりゃねーよー」 でも、耳元で囁かれる甘い言葉に、私は心ごと攫われて捕らえられているから。 「……失恋したかと思った」 「なんで?」 「…理貴がややこしいこと言うからだよ」 「お前、案外根に持つのな…」 「知らなかった?」 「おう。知らんかった」 「じゃあマンネリじゃないじゃん」 ぎゅうっと、理貴の背中に手をやると、その倍の温かさで包み返される。 それが心地良くて、愛しくて…。