「荻原は東駅使わないのか?」

「使いませんけど」

「んじゃあ、こっちの方に家があるんだな」

「先輩たちは全員、東駅なんですか?」

「そうだぞ~。他の電車組は西駅。あ、蛍斗はこっちだった」

月掛高校は東西にほぼ同距離に駅がある。電車通学をする人たちは、自宅の最寄駅から近い方の駅を使う。

でも、今まで出くわしたことすらなかったのに、まさか5人も先輩がこっち方面だとは思わなかった。

「んで、荻原は行くか?〇ック」

「すみません、今日は帰ります」

「えぇ、雪兎行かねぇの?」

「オレ腹減ってねぇし」

不満そうな彰矢に笑う。それに、早く帰って隠れねぇと大騒ぎになる。