グイッと掴まれた腕。 その先にある、冷たい目。 「ふーん……」 「怜佑……?」 なんで? 怒って、る……? 「よーわかったわ」 「っ!」 低く放たれた声に身体がビクッと震えた。 あたしを掴んだその手を離すと、怜佑は放心状態のあたしを置いてそのまま歩いていってしまった。 *** ズーーーン。 一体あたしが何をしたっていうの……。 まっったく、いっっさいわからないけれど、怜佑を怒らせてしまったのは確かだ。 だってあの顔、これでもかってくらいイライラが滲み出てたんだもん。