「……わかってますよ。そんなことくらい」 じっと見つめていたら、美保ちゃんがふっと小さく笑った。 ……やっぱり、わかってたんだ。 思いながら、あたしは静かに喉を鳴らす。 「で、チョコレートを渡すなって、そう言うんですか?」 「え?」 「だって、梓先輩とはライバルになるわけだし」 ライバル。 たしかに美保ちゃんの言う通りだし、怜佑のことを好きなのは焦ったしびっくりもしたけど。 「ううん、違うよ」 ライバルとかそうじゃないとか、恋にはそんなの関係ないと思うんだ。 だから──。