チュッと軽い音が廊下に響き、引っ張られた腕に力が入る。 ほんの一瞬だけ触れた唇はすぐに離れ、 「蓮ムカつくし、俺の最後の悪あがき」 いつものように白い歯を見せ、目を細めた優悟の笑顔に、また少しだけ涙が出た。 優悟はいっつも笑ってて、だから弱ってるとこなんか見た事なくて… 「あーちゃん、行っといで」 それが優悟の優しさで、強さなんだけど、 「うん…」 今日は何だか分かんないけど、優悟の笑顔の隅に弱さが垣間見えた気がした。