とりあえず、こんな二人を構っている時間なんてない。 あたしは一刻も早く台詞を…… 「あれ?」 後ろを向いていたあたしは、手探りで机に置いた台本を掴もうと手を伸ばした。 だけどそこに台本はなくて。 「あぁ!ちょっと蓮!?」 視線を蓮に向けると、その手にはバッチリ台本があった。 「なんだよ?」 「なんだよって…それ、あたしの台本!」 必死に台本を指差しながら、あたしのだとアピールする。