四月一日、月曜日、晴れ。

新しい人生のはじまりの日。

本当なら今ごろ、奈良の中心部にある職場で希望にみちあふれて仕事をしていたはずだった。

今日まで何度も繰りかえした自己紹介の練習も、先輩への笑顔の作りかたも、全部ムダになってしまったなんて、今でも信じられない。


――新社会人として初出社の今日、会社が倒産してしまったのだ。


経験したことのないショックに打ちのめされた私は、いつしか奈良の町をさまよっていたらしい。

借りたばかりのアパートに戻るにはバスに乗らなくちゃいけないのに、それすらできないほどに自分を見失っていたみたい。