「……………たぃ。」
「えっ、なんて?」
なんて言ったのか聞き取れなくて腕の中に収まっていたアサコさんを一旦、解放する。そして、アサコさんの両肩に手を置いてちゃんと目線を合わせた。
アサコさんと漸く目と目が合ってホッとする。だってあの不安げな顔なんてしていなかったから。そして、
「唯一になりたい。私を……君の唯一にして欲しい。」
って、めちゃくちゃ可愛い顔して言うんだもん。僕は再びアサコさんをぎゅっと抱きしめた。
「そんなのとっくに唯一の人です。アサコさんが好きです。僕、大学入った時からずっと好きでした。一目惚れです。」
あの日、ストーカーみたいにアサコさんの後をふらふらと追ってってから三年以上もの月日が過ぎて、今漸く思いを打ち明けることが出来た。
しかも、これって両思いってやつ?
マジかぁ。
ずっと好きだったアサコさんと両思いだなんて。幸せ過ぎて怖いよ。
感慨深くこれまでの片思い期間を走馬灯の様に振り返っていると、
「だけど……、お別れだね。」
耳を疑う様な言葉が聞こえた。
お別れ……?
なんで?
今、僕の気持ち伝えたよね?
それでアサコさんもーーー
唯一になりたいって言ってくれたけど好きって言われてないじゃん。えっ、でも、唯一になりたい=好きじゃないの?
えっ、どういうこと?
それはまた別の話ってこと?
全く理解できないんだけど。雪の手紙の話じゃないけど、時々僕にはよく分からないことを言うアサコさんに何とか声を振り絞って聞き返した。
「アサコさん……お別れって?」
「お別れなんだよね?」
逆に聞き返された。
「いや、だから誰と?」
「君と……?」
「なんで?」
「なんでって……だって卒業したら居なくなるんでしょ?」
いなくなる?
僕が?
「アサコさん、僕がどうしていなくなるの?」
マジで分かんないよ……。



