月と地球と彼女と僕と。

半月かぁ。


見上げた空には半分の月が。これがせめて真ん丸な満月だと月の力を借りてアサコさんへ僕の気持ちをぶつけるんだけどな。


天文サークルに入るまで全く星だとか月だとか興味なかったけど、アサコさんから色んな話を聞いたり、一部の先輩は熱心な活動もしてたから、教えてもらったりしているうちにそれなりに僕も興味を持つようになった。


だから、月が地球の周りを回っているのって僕とアサコさんみたいだなってそんな風に例えたりする事も。


付かず離れず一定の距離を保ちつつ側にいるだけ。


本当はもっと近付きたいのに。そっと触れてみたいのに。


だけど考えようによっては確か月は地球にとって唯一の衛星な訳だから、僕だってアサコさんにとって唯一の存在ーーーー


なんてことあるか?いや、ないわー、だよな。


「今日は随分と無口なのね。」


「えっ。」


「さっきからずっと一人で何か考えてる。」


しまった。ついつい脳内妄想が暴走してた。


「月と地球の関係について考えていたんですよ。」


真面目な顔して答える。嘘じゃない。


「月と地球?」


「そうです。月は地球にとって唯一の衛星って話です。」


「ああ、それね。ふうん。唯一かぁ。」


アサコさんはそう言うと立ち止まって僕の顔を見て言葉を続けた。


「私は君にとってーーー、君にとって唯一の存在になれるのかな?」


えっ……


「それ、どういう……意味?」


大学の唯一の後輩として?


気を使わない唯一の年下として?


それとも、


それともーーーー


都合の良い解釈するよ?