月と地球と彼女と僕と。

てか、


「出来るならもっと、くっつきたい……です。えっと、徐々に……ですけど。」


今後の為にもちゃんと意思を伝えとかなきゃ。


「うん。」


アサコさんは小さく頷いた。


その横顔にあの泣きそうな表情(かお)は無かった。


少し照れながらも自信に満ち溢れ凛とした僕の一番好きなアサコさんの顔がそこにあった。


空をじっと見上げてたいつかの様にその瞳は今、月を見ている。


「あっ、そうだ。」


僕は気になっていた事を聞くことにした。


「アサコさん、なんで今日、雪が天からの手紙って話を僕にしたんですか?」


アサコさんが何を思って何を伝えたいのか、もっともっとアサコさんの事を知りたいと思ったから。


「ああ、あれね。なに、まだわからないの?」


うわっ、これって思いっきりサークルの先輩モードだよね?さっきまでの弱々しいアサコさんはどこへ。


「えっと……雪、雪、天からの手紙……どういうことだろ。マジで分かんないし。」


ブツブツと言いながら考えていると、


「あのさ、君が地元に帰っちゃうって思ってたから私。雪国だって言ってたから、もし離れてしまっても雪が降る度にその雪が君からの手紙だったら良いな………ってなんか今言うの恥ずかしいじゃない。」


そんな事、考えてたんだ。だから雪は天からの手紙って話を……。また一つアサコさんを知ることが出来た。


「アサコさん、可愛い。僕、やっぱり我慢できません。ぎゅってしていいですか?」


冗談っぽくも願わくば……的に言ってみた。だってこれも僕だからって知ってほしいし。


「えっ、やだ、駄目だって。こんな人通りの多いところで。」


「無理です。僕の長年の思いが爆発して抑えられません。だから、ぎゅうぅぅぅーーーっと、」


「調子に乗るなっ‼ほら、終電間に合わなくなるじゃない。もう置いてくからね。」


口ではそんな事を言いながら決して手を離さないでいてくれるアサコさん。


そんなアサコさんを僕はまた好きになる。


昨日よりも今日よりも。


明日はもっともっとって、好きになる。


この気持ちは変わらない。


ずっとこの先も続いていく。


あの時、こんな事を思ってたんだよっていつか雪に書いてアサコさんに手紙を送ろうか。


僕の故郷で天から降ってくる雪の手紙を受け取るアサコさんを想像してみる。


もちろん、隣には僕がいる。







雪も悪くないね。






僕はアサコさんの手をもう一度しっかり繋ぎ直した。