「ほら、入れ」



担任の大きな背中の後ろから姿を現したその転入生は、端正な顔立ちをした少女だった。
クラスの男子だけでなく、女子からさえも息を飲む音が聞こえてきそうだ。


少女は教壇の前に立ち、

「神崎 沙月です。宜しくお願いします」

と一切物怖じせず自己紹介した。