上には白い天井。そして独特の消毒液の匂い。
ここは……。


「保健室だよ。澪倒れたんだよ」

「……倒れた?」

視界が歪んだところまでは覚えてる。でもそのあとどうやって保健室に来たのか覚えてない。


「貧血だって。先生は今いないけど暫く横になってれば大丈夫って言ってたよ。ダルさがとれないなら早退してもいいって言ってたけど、どうする?」

「大丈夫。せっちゃんにも迷惑かけてごめんね」

「あ、まだ寝てたほうが……」

私はベッドから起き上がって周りを見た。時計の針はもう2限目が終わる時間で私は一時間近く寝ていたらしい。


「もしかしてずっと付き添ってくれてたの?」

「うん。澪のことが心配だし2限目はどうせ退屈な古典だしさ。サボれてラッキーだよ」

あははと笑うせっちゃんを見ながら、自分の身体から知らない匂いがしてることに気づいた。

それはちょっと甘ったるくて、大人の人の香り。


「そういえば先輩も澪に付き添うって言ってたんだけど、先生がふたりもいらないからって私だけ残ったの」

「……先輩?」

「覚えてないの?澪を保健室まで運んでくれたのは須藤先輩だよ」