別に笑ってくれて良かった。『なに言ってんだよー』って。
それなのにあまりに西崎が驚いた顔をしたから私は慌てて言葉を付け加える。
『だ、だってほら!私たちいつも一緒にいるし、付き合っても付き合ってなくても変わらないじゃん……!』
彼氏彼女がどんなものなのか知らないけど、お互いの家に行き来するなんて付き合ってるみたいだねって言われたことがあったから〝そういうもの〟だと思ってた。
すると西崎は『はは』と軽く笑って言った。
『澪が彼女なんて全然考えられないし、想像したこともねーよ』
幼かったのだ、私は。
暫くして西崎は同級生の女の子と毎日一緒に帰るようになった。その顔は長年一緒にいる私が見たことのないような顔をしてた。
耳を真っ赤に染めて、それでも必死で話を繋げて、歩くスピードを合わせる西崎の姿。
本当に嬉しそうで余裕がなくて、ああ、全然違うなって。私に向けられる顔と好きな人の前で見せる顔は違うんだって。
それからだと思う。
私が西崎と幼なじみをやめたのは。



