きみの好きなところを数えたら朝になった。



――『お前ってさ、髪の毛伸ばして女らしくしたら絶対すぐ彼氏できるのに』

西崎はもう忘れちゃったかもしれないけど、私はあの日のことを今でも覚えてる。

あの時はたしか西崎の家で新作のDVD鑑賞をしてたとき。


周りの友達たちが急に色恋の話をするようになって『あの先輩はカッコいい』とか『あの人とあの人は両想いだ』とか。

その話の延長線上で西崎がいきなりそんなことを私に言ってきたんだ。


『え、なにそれ。彼氏とかいらないし』

当時の私はかなりボーイッシュで、ジャージで歩いていると男の子に間違えられたくらい。


『彼氏いらないとか贅沢だな。俺は普通に彼女ほしー』

『ぷ、あはは。アンタに彼女とか』

『笑うなよ』

私よりも西崎のほうが似合わないって思ってた。でも西崎は当時から女子の人気は高くて、なにが魅力なんだか分からないけど西崎には人を惹きつけるなにかがある。

そういえばこの前、下駄箱にラブレターが入ってたって言ってた。西崎じゃなくて周りの友達が騒いでた。

どうなったか、なんて別に聞かない。


だって西崎は野球しか興味ないし、坊主だし、背も高くないし。毎日毎日部活で忙しそうだから遊ぶ暇もないし、唯一私がこうして西崎の家に遊びにきてあげるぐらい。

だから冗談のつもりで。

でも半分は冗談じゃなくて。


『彼女ほしいなら、私なんてどう?』