「んで、どうだったの?」
せっちゃんが話を変えるように私の前の席に座る。
「なにが?」
「西崎が彼女連れてきたんでしょ」
「あー……」
まるで遠い記憶を呼び起こすような返事。
あのあと公園で先輩と暫く話して家に帰ったら桃香ちゃんはすでに帰っていた。もっと遅くまでいると思ってたのに「それはさすがに迷惑だから」と西崎が早めに帰したらしい。
西崎はヘンなところが真面目だから、昔から知っていても掴みどころがなくて調子が狂う。
「べつにどうしもしないよ。桃香ちゃんはすぐに西崎の部屋に行っちゃったし、私が会ったのは最初だけ」
……そういえば桃香ちゃんが作ってくれたクッキー美味しかったな。
お菓子作りが趣味なんて本当に羨ましい。
私なんて料理は作るけどお菓子作りは苦手で、唯一作ったことがあるとしたらチョコレートを溶かして型に流して固めるだけの手作りバレンタインチョコ。
義理チョコとしてクラスメイトに配って、もちろんついでに西崎にもあげたら『岩よりも硬い』って言われたんだっけ。
今じゃ笑い話だけど当時は相当キレたな。『そんなわけないじゃん!』って言い返して食べたらマジで硬くて自分に引いた。
本当に私って昔から女子力だけはないんだよね……。



