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そして週末。桃香ちゃんを迎えに駅まで行った西崎が戻ってきた。


「雨宮先輩、こんにちは」

ただの殺風景な玄関が桃香ちゃんの存在で明るくなる。桃香ちゃんの私服は清楚で可愛らしい白いフリルのワンピース。

こんなお人形みたいな子がうちみたいな一般家庭でおもてなしするのが申し訳ないくらいキラキラと眩しい。


「こ、こんにちは。いらっしゃい」

必死で笑顔を作ってみたけど明らかに引きつってる私。


桃香ちゃんはしっかりと脱いだ靴を揃えて家にあがった。礼儀作法まで完璧なんて、西崎に見習わせたいぐらいだ。


「わあ、綺麗なお家ですね」

「そ、そう?」

桃香ちゃんをとりあえずリビングに案内した。
一応普段から掃除はこまめにしてるけど桃香ちゃんのほうが広くて綺麗な家に住んでそう。

勝手な想像だけど立派な門構えの西洋な家で、
お手伝いさんとかがいそうなイメージだ。


「先輩これ私が焼いたクッキーです。お口に合うか分かりませんがご家族で食べてください」

「え、これ全部桃香ちゃんが作ったの!?」

「はい。お菓子作りが趣味なんです」

一度でいいから言ってみたいセリフ。

クッキーは全部動物の形をしていて種類も味も違う。まるでお店で売られてるような可愛いクッキーだった。