きみの好きなところを数えたら朝になった。



「え、え、なに、急に?」

まさかこんなことを聞いてくるとは思ってなかった。今日は想定外のことをする日なのだろうか。


「いや、たまたま今日一緒に帰ってんの見かけたから。だからそうなのかなって思って」

べつに重くもなく、日常の会話をするような軽い口調。

知らないところで見られていたことがムカついたのか、それとも帰ってきた時点で聞けばいいのにタイミングを見計らってたことがムカついたのか。

なんにせよ、ちょっとイラッとした。


「付き合ってるわけないでしょ。アンタ須藤先輩のこと知らないの?」

「知らないって?」

「容姿端麗、頭脳明晰。そんな人が私と付き合うわけないでしょってこと」

ガタッと私は椅子から立ち上がって、食べた食器を流し台へと置いた。そして話を終わらせようと蛇口をひねって水を勢いよく出す。


「容姿が良くて頭も良くて。んで、なんでお前と付き合っちゃいけねーの?」

私の気持ちなんて知らずに西崎は相変わらず能天気。


「だからさ、私みたいなブスより普通に考えて先輩にはもっと釣り合う人がいるってことだよ」

ジャアアーとお皿を洗いながら背中越しで反論する。すると背後に気配を感じて横を見ると西崎が腕捲りをして、私から洗いかけのお皿を奪った。


「お前がブスなら世の中の女は大抵ブスになるよ」

はは、と笑いながら、キュッキュッとコップも洗う。