「ん」と西崎が伸ばしてきた手に私は触れて、
それは次第に恋人繋ぎへと変わっていく。
まだ身体がロボットのように硬いけど、それもなんだか全部愛しい。
想像できなかったこと。
想像することをやめてたこと。
これからは西崎との未来を飽きるほど想像してもいいんだ。
「澪」
「な、なに、柊也」
私のほうこそマジで下手くそ……!
お互いのことをイヤというほど知ってるくせに、お互いの知らなかった部分。
ここからは未知の領域。
――『今日からお前の家、貸してくんない?』
あの日が私たちを変えた。
ひとつ屋根のしたという奇妙な居候生活がなかったら、今の私たちはいなかった。
それで、私の人知れず芽生えた恋もきっと消えていた。
こんな風に同じ気持ちで重なることはなかった。
「あったけーな。お前の手」
西崎が特別な瞳で私のことを見る。
それがやっぱりどうしようもなく嬉しくて、
また、幸せすぎて私は泣いた。
【END】



