きみの好きなところを数えたら朝になった。



「な、なんで……」

そこにいたのは西崎だった。

人混みに紛れて、少し離れた場所で、西崎が私を見つめながら立っている。

花火がドンドンッとうるさくて、よく見える場所へとみんなが向かう中で私たちの足は止まったまま。


「なんでここにいるの……?」

現実なのか夢なのか、よく分からなくなってきた。それでも確かめるように西崎に問いかける。


「家に行ったんだよ。荷物、まだ残ってただろ」

久しぶりに聞いた西崎の声がこんなにもまだ胸に響いてしまう。


「あ、ああ、荷物ね。わざわざ取りにこなくても送ってあげたのに」

平常心を保てずに自分の声が震えてしまう。


「わ、私もう帰るところだからさ。荷物なら玄関で渡そうか?まとめてないから時間かかるかもだけど10分くらいかな。うん、多分そのくらいで大丈夫」

私がペラペラと喋る中で西崎はなにも言わずに私との距離を縮めてくる。

西崎が一歩前に出れば、私が一歩遠ざかって、
その距離は変わることはない。


怖くて仕方がなかった。

また自分の気持ちが溢れてしまいそうで。


「雨宮……」

「こ、来ないでよ。なに考えてんの?」

これ以上惨めな気分になりたくない。

今さらなにかを言われたって、もう遅い。私の片想いはあの公園で終わった。西崎は来なかった。私を選ばなかった。

だから私たちはもう……。

逃げるように西崎に背中を向けようとした瞬間、思いきり手を掴まれて、そのままよろけるように私の身体は西崎の腕の中へと入った。