「すごく似合うよ。可愛い」
私は目の前の鏡を見つめながら先輩に魔法でもかけられたような気分になっていた。
「すごいですね!どうやってやったんですか?」
興奮しすぎて声が大きくなる。
「いや、普通に後ろで毛を一つにまとめて、くるってねじってからかんざしを真横に刺して、こうしてかんざしを回しながら先端を上から下に刺し込んだだけ」
そうやってやれば簡単だと、確かに紙には書いてあるけど……。
「先輩ってなんでもできるんですね!もしかして妹さんの髪もやってあげたりするんですか?」
「たまにね。でも最近は急に女の子になってきたから触らせてくれないけど」
先輩と話してると心が和む。最初はあんなに緊張してたのに、こんなに打ち解けることができるなんて思わなかった。
それから雑貨屋を出てまた一緒に洋服を見たり、ペットショップに立ち寄ったりして時間があっという間に過ぎていった。
「良かったんですか?私の買い物ばっかり付き合ってもらって」
先輩が「次はどこに行きたい?」とワガママを許してくれたから色々な場所へと連れ回してしまったけど。
「うん。俺の用は本屋だけだったし」
それって私と会った時点で用事は終わってたってことだよね。……先輩って本当に優しい人だなあ。



