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それから数日が経って、西崎と同じ屋根のしたにいても私はなるべく顔を合わせないように過ごしていた。
西崎と生活のサイクルが一緒だからか少し時間をズラせば嘘のようにすれ違うことができた。
なんて大胆なことをしてしまったんだろうと今でも思い出すと顔が熱くなる。それでもああしなければきっと西崎は私の気持ちに気づいてくれなかったと思うから。
『もしもし、せっちゃん?』
今日は週末。私の気分転換もかねて買い物に行こうと誘ってくれた。待ち合わせの5分前に駅前に着いて、スマホを手に取ったタイミングでせっちゃんからの着信が。
『澪ごめん!今日の予定キャンセルしていい?』
せっちゃんの声が珍しく慌てていて、なにやら電話の向こう側から雑音が聞こえる。
『いいけど、なにかあったの?』
『実はお父さんが出先でぎっくり腰やっちゃったみたいでさ』
『ええ!?』
『いま電気屋にいて動けないんだって。私も澪との待ち合わせ場所に向かってた最中なんだけど、ちょうど電気屋まで近いし今から行ってくる』
『お、お父さん、大丈夫なの?』
『ああ、平気平気。もう何回もやってるからクセになってんの。人様に迷惑かけるわけにもいかないから私が迎えに行かないと。だから澪ごめんね!この埋め合わせは必ずするから……!』
『私は大丈夫だよ。お父さんにお大事にって伝えて』
せっちゃんとの電話を切って時計を確認した。



