きみの好きなところを数えたら朝になった。




「そんなこと私に聞かれても分かんない。でも……好きな人と同じ気持ちで重ならない苦しさなら私にも分かる」

それを言った瞬間、ポロポロと自分の瞳から涙が流れた。

西崎の前では弱さなんて見せたくなかったのに想いが溢れて止まらない。


「お前なに泣いて……」

西崎が隣で慌てていた。


ずっと気づかれないようにしてた。
だって気づかれたら終わる。

私と西崎の関係が終わる。

だから曖昧なままでよかった。だけど本当は……。


私は体勢を変えてグイッと西崎の襟元を掴んだ。それはほんの一瞬の出来事でたったの2秒間。

それでも世界が変わる。

私はずっと西崎との関係を変えたかった。


「いい加減、私の気持ちに気づいてよ」


それは唇と唇がわずかに当たっただけのキスともいえないようなキス。

だけど鈍感な西崎でも、これは冗談でもふざけたわけでもないってことがこれで分かるだろう。


「あ……雨宮……」

西崎がビックリした顔をしていた。

襟元に伸びていた私の手がゆっくりと西崎から離れて、私はそのままベンチから立ち上がった。

そして爆発しような心臓の音とともにその場から立ち去る。


……ああ、終わった。

もう今までどおりの私たちじゃいられない。

だけど限界だった。

恋がこんなに苦しいなら最初からしなければよかったね。