「お前、怒ってたんじゃねーの」
西崎がチラッと私の顔を確認した。
「怒ってたけど、なんかどうでもよくなったっていうか怒ってたのも忘れた」
「なんだ、それ。俺すげービビってたのに。お前怒らせるとこえーし、長引かせたくないからいつ謝ろうか考えてた」
西崎は悪くなくても必ず謝る。私が頑固で引かない性格なのを知ってるから余計に西崎がそこは悪くなくても折れてくれる。
そう考えると西崎をもうガキ扱いなんてできない。
いつまでもガキなのは私のほうだ。
「それに、また避けられたらどうしようかって今日1日そればっかり考えてた」
……なにそれ。
桃香ちゃんと中庭で楽しそうに喋ってたくせに都合よすぎ。でも西崎の心の中までは分からないから、もし本当にそうだとしたら普通に嬉しい。
西崎の中に私という存在がどれほどいるか分からない。
聞かないと分からない。
言葉にしなきゃ分からない。
私はきっとそれすらも怖くて逃げてきた。
「……だったらあのとき。あの中学1年のとき。西崎のことを急に避けはじめた私を見てムカついたでしょ?」
あの日から私の苦しい片想いがはじまった。



