たしかにふたりを見るのはツラい。でも今は別の感情も沸き上がっている。
「ねえ、せっちゃん。私さ、人のものが欲しくなる人って一番最低だと思ってた」
「……え?」
「でもさ、私が強く惹かれたのは西崎が他の女の子に優しくしてたり、愛しそうに見つめる視線だったり、欲しくても私には手に入らないから余計に諦めが悪くなったんだよね」
きっと今でもそうかもしれない。
西崎が桃香ちゃんを選んで、お互いに幸せならそれでいいはずなのに、私はもどかしく感じながらあのふたりのことを見ている。
奪う、なんてそんな大きなことは言えないけど、あの隣にいるのが私だったらと思ってしまう。
「そんなもんじゃない、恋愛なんて」
せっちゃんは私と肩を並べながら頬杖をついて、同じように中庭を見つめた。
「全部がキレイなわけじゃないでしょ。誰かのものが欲しくなったり、誰かの幸せを壊してでも手に入れたくなる。別に澪だけじゃなくて片想いしてる人は誰でもそう思うんじゃないのかな」
「………」
「それにうちらまだ17歳だし、色々間違って突っ走ってもいいでしょ。大人になれば分かることも沢山あるけど、子どもの今じゃないとできないこと。うちらにとってそれが一番大事じゃない?」
「ね?」とせっちゃんが私の迷いを取り払うように微笑んでくれて、少し心が軽くなった気がした。



