「おかえりー」
家に帰ると西崎が台所の前にいた。どうやら本当にオムライスを作ってくれるらしくて私のケチャップ待ちだったらしい。
「なんか昼間のテレビでさ、オムライスを簡単に店の味にする裏技っていうのをやってて。なんか今なら俺めっちゃすげーやつ作れそうな気がするんだよね」
オムライスのめっちゃすげーやつとはどういうことだろうと突っ込むのを忘れるぐらい、私はまだ言葉を発してない。
「ん?どうした?」
まだリビングのドアの前で立ったままの私を見て西崎が首を傾げている。
色々頭を整理しようとゆっくり歩いてきたのに西崎を前にしてもまだ動揺が残っている。
今日の西崎はなんだかご機嫌だし、オムライスを頑張って作ろうとしてる気分を損ねたくない。でも……。
「あ、あのさ、桃香ちゃんにお兄さんとかいる?」
これは確認だ。
だって桃香ちゃんは家族と出掛けてるって言ってたし、桃香ちゃんがものすごくブラコンでイケメンのお兄さんと手を繋ぎながら買い物をしてたって可能性も……。
「ん?桃香は一人っ子だけど急にどうした」
……ですよね。
ブラコンでも恋人繋ぎはさすがにしないし、あの距離感はどう見ても普通の関係には見えなかった。
「う、ううん。ただ聞いただけ」
西崎に本当のことなんて言えるわけない。



