コハクとラスはもちろん同じ部屋だ。
ベッドもひとつ。
討伐から戻ったコハクたちは、白の横で盛大な焚き火がされているのを窓から見ていた。
「コー、あれは何をしてるの?」
「んん、あれは狩った魔物を焼いてんだ。奴らしぶといのも居るし、生き返る系のも居るから焼くのが一番いいんだ」
「ふうん。ねえコー、明日にはもうここから離れちゃうの?」
シャワーから戻って来たラスの長い金髪はまだ濡れていて、タオルを頭に被せて拭いてやりながらにやっと笑う。
「チビはさ、王子様と人魚をくっつけたいんだろ?」
「うん」
「だったら先を急ぐあのガキを足止めしてくれ。オレがなんとかできるかもー」
ラスがコハクを見上げる。
明かりのついていない部屋だがコハクのルビーのように赤く綺麗な瞳をじっと見つめたラスは、その手を引っ張ってベッドの方へ誘う。
「へっ?ち、チビからのお誘い!?」
「私のわがままいつも聞いてくれてありがとう。コー、私ね、時々考えるの」
いそいそとベッドに入ったコハクは、手を握ったまままだベッドに入らないラスを見る。
珍しく笑顔がなく、真面目な顔のラスに胸騒ぎを覚えて固まった。
「何をだ?」
「子供たちの方が先に死んじゃうのかなって」
ぎくりとしてコハクも言葉が詰まる。
それはまだ確認したことがなく、また怖くて確認していなかったことだ。
ラスさえ居ればいいんだーーそう今でも思っているが、子供たちのこともやはり愛しい。
「チビ…」
「コーと生きてきたいって思ったから私は私の運命を受け入れてるけど…でも子供たちが先におじいちゃんになっちゃって先に死なれたら…」
それ以上は言葉が出てこなくて俯いたラスをベッドに引き入れたコハクはやましい思いも吹き飛んでラスをぎゅうっと抱きしめる。
「…それが自然なんだ。…オレは長く生きて倦んでいくあいつらを見たくねえし恨まれたくねえ。チビ…オレを恨んでるか?」
「ううん、全然」
即答だった。
それが救いで、長い間ラスを抱きしめ続けた。
ベッドもひとつ。
討伐から戻ったコハクたちは、白の横で盛大な焚き火がされているのを窓から見ていた。
「コー、あれは何をしてるの?」
「んん、あれは狩った魔物を焼いてんだ。奴らしぶといのも居るし、生き返る系のも居るから焼くのが一番いいんだ」
「ふうん。ねえコー、明日にはもうここから離れちゃうの?」
シャワーから戻って来たラスの長い金髪はまだ濡れていて、タオルを頭に被せて拭いてやりながらにやっと笑う。
「チビはさ、王子様と人魚をくっつけたいんだろ?」
「うん」
「だったら先を急ぐあのガキを足止めしてくれ。オレがなんとかできるかもー」
ラスがコハクを見上げる。
明かりのついていない部屋だがコハクのルビーのように赤く綺麗な瞳をじっと見つめたラスは、その手を引っ張ってベッドの方へ誘う。
「へっ?ち、チビからのお誘い!?」
「私のわがままいつも聞いてくれてありがとう。コー、私ね、時々考えるの」
いそいそとベッドに入ったコハクは、手を握ったまままだベッドに入らないラスを見る。
珍しく笑顔がなく、真面目な顔のラスに胸騒ぎを覚えて固まった。
「何をだ?」
「子供たちの方が先に死んじゃうのかなって」
ぎくりとしてコハクも言葉が詰まる。
それはまだ確認したことがなく、また怖くて確認していなかったことだ。
ラスさえ居ればいいんだーーそう今でも思っているが、子供たちのこともやはり愛しい。
「チビ…」
「コーと生きてきたいって思ったから私は私の運命を受け入れてるけど…でも子供たちが先におじいちゃんになっちゃって先に死なれたら…」
それ以上は言葉が出てこなくて俯いたラスをベッドに引き入れたコハクはやましい思いも吹き飛んでラスをぎゅうっと抱きしめる。
「…それが自然なんだ。…オレは長く生きて倦んでいくあいつらを見たくねえし恨まれたくねえ。チビ…オレを恨んでるか?」
「ううん、全然」
即答だった。
それが救いで、長い間ラスを抱きしめ続けた。

