上半身は人で、下半身は魚ーー幻の生き物である人魚は熱心に城を見上げていた。
「人魚さん?絵本の中でしか見たことないよ?」
「そだな、人前には滅多に触れることはないな。人魚の肉は食うと不老不死になるって言われてるし、陸地では生きられねえ。オレも実際見たのははじめてだ」
先に駆けたリロイは人魚とはまだ気付いていない。
馬から降りると濡れることも厭わず浅瀬に入り、怯えて逃げようとする人魚に手を伸ばした。
「大丈夫か!?ほら、手を伸ばして」
心から助けようとする思いが伝わったのか、人魚はオレンジ色の長い髪をかきあげてリロイをじっと見つめる。
「…で、補足なんだけど。あいつら、人間を食うからな」
「えっ?コー、リロイが食べられちゃうっ」
その美しい姿と歌声で魅了し、海の中に引きずり込んで精魂を吸い尽くした後食うーー文献にはそう書かれているが…
「さあ…」
「あなたは…王子様じゃない…」
「え?」
リロイの手を人魚ががっしり掴んだ。
長い爪は腕に食い込み、とてつもない力で引っ張られてよろけたリロイに妖艶に微笑んだ時ーー
「はいはい、そこまでー」
コハクの指先から放たれた静電気に近い雷が人魚の手に当たると、驚いた人魚が大きく跳ねて海中に潜った。
その時見えた尾びれにリロイの目が点になり、追いついたコハクはラスの手を引いて浅瀬に入る。
「何だあれは…魔物?!」
「分類するとそうだ。ほら出て来いよ。食ったりしねえよ」
ーー海中から見られている。
リロイとコハクを交互に見た後、視線がラスに定まり、あどけなく可愛らしい姿に可愛いもの好きな人魚は顔だけ出してラスにすすっと近寄った。
「はいそこまでー。人魚さん、オレの天使ちゃんになんかしたら人には言えないようなことしてやるからな」
「お前は…魔法使い…?」
「まあな。で、なんでこんな所に居るのか話してもらおうか?」
にやにや笑いが止まらない魔王。
未知の生物の登場にアドレナリンが噴き出していた。
「人魚さん?絵本の中でしか見たことないよ?」
「そだな、人前には滅多に触れることはないな。人魚の肉は食うと不老不死になるって言われてるし、陸地では生きられねえ。オレも実際見たのははじめてだ」
先に駆けたリロイは人魚とはまだ気付いていない。
馬から降りると濡れることも厭わず浅瀬に入り、怯えて逃げようとする人魚に手を伸ばした。
「大丈夫か!?ほら、手を伸ばして」
心から助けようとする思いが伝わったのか、人魚はオレンジ色の長い髪をかきあげてリロイをじっと見つめる。
「…で、補足なんだけど。あいつら、人間を食うからな」
「えっ?コー、リロイが食べられちゃうっ」
その美しい姿と歌声で魅了し、海の中に引きずり込んで精魂を吸い尽くした後食うーー文献にはそう書かれているが…
「さあ…」
「あなたは…王子様じゃない…」
「え?」
リロイの手を人魚ががっしり掴んだ。
長い爪は腕に食い込み、とてつもない力で引っ張られてよろけたリロイに妖艶に微笑んだ時ーー
「はいはい、そこまでー」
コハクの指先から放たれた静電気に近い雷が人魚の手に当たると、驚いた人魚が大きく跳ねて海中に潜った。
その時見えた尾びれにリロイの目が点になり、追いついたコハクはラスの手を引いて浅瀬に入る。
「何だあれは…魔物?!」
「分類するとそうだ。ほら出て来いよ。食ったりしねえよ」
ーー海中から見られている。
リロイとコハクを交互に見た後、視線がラスに定まり、あどけなく可愛らしい姿に可愛いもの好きな人魚は顔だけ出してラスにすすっと近寄った。
「はいそこまでー。人魚さん、オレの天使ちゃんになんかしたら人には言えないようなことしてやるからな」
「お前は…魔法使い…?」
「まあな。で、なんでこんな所に居るのか話してもらおうか?」
にやにや笑いが止まらない魔王。
未知の生物の登場にアドレナリンが噴き出していた。

