ラスの金髪は海や空に映える。
…リロイも金髪なのだが、そこは魔王の眼中には当然ない。
「わあー、海が見えて来たっ!」
コハクが極度の心配性なので、ラスはあまり長い間歩いたことがない。
小さな足はその証で、馬車の中で早速白い靴を脱ぐと、窓を開けて潮の香りを楽しんだ。
真っ白な砂浜は見るからに熱そうで、馬車が止まるとコハクがドアを開けてラスを抱っこした。
「足場が悪いからオレと馬に乗ろうぜ」
「うん、わかった。ねえコー、遠くにお城みたいなのが見えるよ」
「あー、あの崖っぷちにあるやつな。この辺仕切ってる奴らが住んでる。魔物の討伐も熱心にやってるし、慕われてるらしいぜ」
「そうなのか、知らなかった。挨拶に行こう」
律儀なリロイが寄り道を提案して反対しようと口を開きかけた時ーー
「コー、浅瀬に誰か居るよ。…女の子?」
馬上から目を細めて浅瀬を見ていたラスが声を上げる。
その先にはーーオレンジ色の長い髪に同じオレンジ色の瞳をしたまだ少女ともいえる女の子で、ラスの目には溺れているように見えて、コハクの白いシャツの胸元を握って助けを求めた。
「コー、助けてあげてっ」
「いやあ、チビ…あれは…」
「魔王!つべこべ言うな!」
業を煮やしたリロイが馬の腹を蹴って走らせると、コハクは息をついてラスが落ちないように腰に腕を回すと同じように走らせる。
「溺れちゃったのかな」
「溺れねえよ。だってあれは…」
幻の生き物のひとつ。
時折見えるあの尾びれ…
「あれ、人魚だもん」
魔王がにやりと笑った。
…リロイも金髪なのだが、そこは魔王の眼中には当然ない。
「わあー、海が見えて来たっ!」
コハクが極度の心配性なので、ラスはあまり長い間歩いたことがない。
小さな足はその証で、馬車の中で早速白い靴を脱ぐと、窓を開けて潮の香りを楽しんだ。
真っ白な砂浜は見るからに熱そうで、馬車が止まるとコハクがドアを開けてラスを抱っこした。
「足場が悪いからオレと馬に乗ろうぜ」
「うん、わかった。ねえコー、遠くにお城みたいなのが見えるよ」
「あー、あの崖っぷちにあるやつな。この辺仕切ってる奴らが住んでる。魔物の討伐も熱心にやってるし、慕われてるらしいぜ」
「そうなのか、知らなかった。挨拶に行こう」
律儀なリロイが寄り道を提案して反対しようと口を開きかけた時ーー
「コー、浅瀬に誰か居るよ。…女の子?」
馬上から目を細めて浅瀬を見ていたラスが声を上げる。
その先にはーーオレンジ色の長い髪に同じオレンジ色の瞳をしたまだ少女ともいえる女の子で、ラスの目には溺れているように見えて、コハクの白いシャツの胸元を握って助けを求めた。
「コー、助けてあげてっ」
「いやあ、チビ…あれは…」
「魔王!つべこべ言うな!」
業を煮やしたリロイが馬の腹を蹴って走らせると、コハクは息をついてラスが落ちないように腰に腕を回すと同じように走らせる。
「溺れちゃったのかな」
「溺れねえよ。だってあれは…」
幻の生き物のひとつ。
時折見えるあの尾びれ…
「あれ、人魚だもん」
魔王がにやりと笑った。

