「じゃあ何!? 私たち、何があったか知ることが出来ないって言うの!? 事件について調べたのに!」
レジーナは叫ぶと同時に、机を叩いた。
淹れたままのコーヒーが数滴、机に落ちる。
全員、気持ちは違うはずなのに、同じような顔をして俯いた。
「黙ってほしいわけじゃない。もう、わかりやすくなくていいから、とにかく教えてよ。納得出来なくてもいい。何があったの」
レジーナは乱暴に座り直し、腕、足を組んだ。
しばらくその場は沈黙に支配される。
「……この事件は、あたしの誘拐をカモフラージュするために、起きたものだった」
知由が小さな声で、俯きながら話し始めた。
全員、下を向いたまま耳を傾ける。
「誘拐をするよう指示をしたのは……」
そこまで言って、再び静寂が訪れる。
誰も続きを促さない。
知由のタイミングを待っている組、改めてその事実を聞きたくない組と思っていることは違うのに、全員机の下で手に汗を握る。
「……あたしの……父親だった」



