知由は当然と言わんばかりに、そのりんごジュースを喉に通した。
「んで? どうやって見つけるつもりなんだよ」
一弥が他の客が飲み終えたカップを運び、洗いながら聞いた。
「滋が堀夏芽に連絡をすれば済む話だが……」
知由は流れ目で滋を見た。
まだ動揺しているのか、自慢の笑顔にはどこか曇りがあるように思える。
「……無理じゃないかな、今の滋には」
雪兎は洗い終えたカップを拭きながら、滋の働く背中を見つめる。
「同感だ。そもそも、滋が連絡先を消している可能性もあるし、堀夏芽が携帯を持っていない可能性も考えられる」
「さしずめ、持ってはいるが電源が切れてるってとこじゃないか」
海は手が空いたらしく、知由と一つの席を挟んだところに腰を下ろした。
「おそらくな。宮野梓は多分、何度も堀夏芽に連絡をしていた。それで連絡つかなかったのだろう。それから、堀夏芽が行きそうな場所を探してもいなかった。だから、依頼をしてきたと考えるのが妥当だ」
「だよね」
知由の言葉に、雪兎が相槌を打つ。
「おまけに、何を調べようにも、私のパソコンは使い物にならない。やはり、滋の力が必要だが……」
「その滋も使い物にならない。どうすんだ、お前。あんな自信満々にすぐ見つかるとか言いやがって」
「黙れ。息の根を止めるぞ」



