「安心してください。堀夏芽さんはすぐに見つかります」
笑顔に戻った知由は、梓に優しくそう言った。
梓は安心したと言うより、驚いていた。
「どうして彼女が言い切るんですか?」
「えっと……彼女がここの探偵なんです。僕は話を聞くだけで」
雪兎は苦笑した。
「こんな小さな子の言うことを聞いて、安心できません」
「宮野さん。信じてください。俺たちのことを」
近くにいた海がそう言うと、梓は大人しくなった。
知由が今にも言葉を発しようとするのを、雪兎は必死に止める。
「では、お探しの人が見つかり次第、連絡しますね」
海はレジでコーヒー代を預かった。
そして梓はお願いします、と小さく言い、喫茶店を後にした。
「ムカつく……!」
ドアベルが鳴り終えると同時に、知由は声を抑えて訴えた。
今度はまだ他の客がいることに気を使ったらしい。
「よく我慢したね、ちぃちゃん」
雪兎は梓が飲んだコーヒーのカップを洗うと、新しいコップにりんごジュースを注ぎ、カウンターに置いた。
「あれでも客であることに変わりはない。雑に扱えるか」



