お前の涙、俺だけに見せて



「俺の親と西野の親が友人だって言ったろ?昨日、西野は親と家に泊まったんだよ。で、道がわかんないってことで俺の姉貴が連れて来たってこと」



困り果ててたら、三神君のこの助け舟。



私たちの会話を近くで聞いてたわけじゃないのに、ナイスタイミングだな。



「いいなあ。うちの親も千秋の親と友達だったらなあ」



女の子たちはそう言いながら、どこかに行ってしまった。



「ありがとう、三神君。それにしても、よくわかったね。私が困ってるって」


「まあ……お前のこと、よく見てるし」



三神君……


私、自惚れそうです。


さらっとかっこいいこと言わないで。



「そうだ、嵐士からはうまく逃げれた?」


「あ、うん。明星さんが来たから」



まあ、逆に逃げれなくなりかけたけどね?



「麗の熱もすごいよな」



……ズキ。



三神君、明星さんのこと、下の名前で呼んでるんだ……



「……そう、だね」



なんか、私らしくない。


こんな小さなことで嫉妬とか……



「嵐士が大人しく麗と付き合えば、どっちも静かになると思うんだけどなあ」