お前の涙、俺だけに見せて



野澤君は立ち上がり、制服についた砂を落とす。



……誰かへの殺意って、こんな簡単に湧くものだっけ?



「なんだ、三神ファンか。じゃ、もう行っていいよ。嵐士は私と行くから」



明星さんは野澤君の腕をしっかりと掴んだ。


では、遠慮なく教室に行こうかな。



教室に行くと、三神君はいろんな人に囲まれていた。



本当に、人気だな……



「西野さん」



三神君に見惚れていたら、数人の女子生徒に囲まれた。



私の場合は、人気とかじゃない。


絶対、三神君関係だ。



「今日、すっごく可愛いね!どうして今まで化粧とかしなかったの?」



……はい?



てっきり文句を言われるもんだと思ってたから、拍子抜けしてしまう。



「忙しかったし、苦手だったから……」


「そうなんだ!ところで……どうして今朝、千秋のお姉さんと一緒だったの?」



天国から地獄ってこのようなことを言うのでしょうか。



結局、予想通りのことを聞かれた。


笑顔から真顔に切り替わる瞬間を見てしまった……



というか、なんて言えば……